冬の瞳

 

13

 

 

  エリヤの部屋の中へと乱暴に突き飛ばされ、 そのままベッドの上に倒れこんだ。

 「ア、 アーウィン?」

  アーウィンの突然の乱暴な行動に、 エリヤは理由がわからずただ怯えた目を向けるだけだった。

  そんなエリヤの様子を冷ややかな目で見る。

 「呆れたものだな、 少し目を離すともう男をあさり出すのか。」

 「!」

  アーウィンの怒りの理由に気付き、 エリヤは目を見開いた。

 「そんな……誤解だ。 私はただ食事を……」

 「誤解?」

  エリヤの否定に、 アーウィンは皮肉気な笑みを浮かべた。

 「じゃあ、 前に座っていた男はなんだ。 たいしたものだな、 店で一番見栄えの良い男を

さっさと見つけている。 おまけに周りにいた男達もお前をもの欲しそうな目で見ていたぞ。

後でまとめて相手してやるつもりだったか?」

  あまりの言葉にエリヤは真っ青になった。

 「違う……そんなつもりは……ただ私は…………」

  弱々しく首を振るが、 アーウィンはそんなエリヤの仕種も演技と信じこんだ。

  苛立たしげに前髪をかきあげ、 エリヤを睨みつける。

 「いいかげんにしろ。 俺にはそんな手は通じないと言っただろうが。 ……まったくとんでもない

淫売だな、 お前は。」

  次々と吐き捨てられる言葉に、 エリヤはもう返す言葉もなくただ首を振りつづけるだけだった。

  知らず、 その頬を涙が流れる。

  その涙を見て、 アーウィンがちっと舌打ちした。

  両脇に垂らされた腕に力がこもり、 拳が固く握られていく。

  よく見ると、 身体が小刻みに震えている。

  まるで何かの衝動に耐えるようだった。

  エリヤから顔を背け、 固く目をつぶっていたアーウィンだったが、 次の瞬間、 カッと目を見開き

つかつかとエリヤに歩み寄った。

  すぐ側に立ち、 エリヤを怒りと何か別の熱のこもった目で見下ろす。

 「アーウィン……」

  エリヤがその様子に不安を覚え、 小さく名を呼ぶ。

  目の前にある拳が汗をにじませながら握られたり開かれたりしている。

 「……ちくしょうっ」

  突然アーウィンが吐き捨てるように怒鳴った。

  その声にびくっとする。

  アーウィンは不気味に光る目でエリヤを睨みつける。

  エリヤは知らずベッドの上を後じさりしていった。

 「……脱げよ。」

  アーウィンは食いしばった口からうなるような声で言った。

  言われた言葉の意味を理解してエリヤが目を見開く。

 「脱げよ。 男が欲しいんだろう……相手してやるよ。 こんなところで男を垂らしこむような真似を

されてはいい迷惑だ。 それくらいなら仕方がない、 俺が相手してやる。」

 「そんな……」

  エリヤは信じられない言葉にただ首を振りながら、 少しでもアーウィンから遠ざかろうと

震える身体を懸命に動かしてベッドの上を後じさった。

 「さっさとしろ。 何を勿体ぶっている。」

  アーウィンが焦れたように言った。

  しかし到底そんなことは出来ない。

  なんとかこの場から逃げられないかと視線をアーウィンの背後にある扉に向ける。

  その視線をアーウィンが逃すはずがなかった。

 「俺では不足ということか? あいにくだな、 別の奴を探す時間などないぞ。 俺で我慢しろ。」

  そう低く笑うと、 逃げようとするエリヤをベッドの中央に引き戻し、 シーツに押さえつけた。

 「ひ……っ」

  エリヤが思わず悲鳴を上げかけた。

  かまわず衣服を剥ぎ取ろうとする。

 「い、 嫌だっ嫌だっっアーウィン! お願いだっ止めて……っ」

  暴れて逃れようとするエリヤに、 アーウィンは苛立った表情をすると、 おもむろに手を振り上げ

エリヤの頬めがけて振り下ろした。

  バシッ!

  エリヤは突然頬を襲った衝撃に一瞬気が遠くなった。

  暴れようとしていた体から力が抜ける。

  ようやくおとなしくなったエリヤの体から、 アーウィンは引き千切るように衣服を剥ぎ取ってしまった。

  そして自分もさっと下半身だけくつろげると、 なんの前戯もなくいきなりエリヤの中に押し入った。

 「ひっ……ああああああっっ!」

  あまりの激痛にエリヤは絶叫した。

  しかしアーウィンはかまわず乱暴に腰を突き上げ始めた。

 「ひいっ! いっ! あっ あああっ!」

  絶えまなく襲いかかる激しい痛みに気が遠くなる。

  まるで身体を引き裂かれているようだった。

  痛みのあまり気を失いかけるエリヤだが、 次の瞬間襲いかかる新たな激痛に意識を引き戻される。

 「うっ うっ……っ」

  気を失うことも出来ず、 ただアーウィンが体を蹂躙していくのを受けとめるしかなかった。







     * 14はちょっと描写が激しいため隠し部屋に置いています。      
        別に読まれなくても話の流れに影響はありません。