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  逸る心を必死に抑え、 横たわるのに邪魔な帯をほどき、 着物の袷に手を延ばした。

  恭生は頬を染めきつく目を閉じているが、 抵抗する様子をみせない。

  ただ黙ってジェフリーの手を受け入れていた。

 「恭生、 本当にいいのか?」

  あまりに静かに、 身じろぎもせずにいる恭生に、 ジェフリーは反対に心配になって訊ねる。

  瞬間、 恭生はぱっと目を開くとジェフリーの顔をにらみつける。

 「聞くなよ、 そんなことっ 嫌ならとっとと殴って逃げてるっ」

  威勢よく言いながらも、 その頬の赤味はだんだんと増してくる。

 「……もしかして初めてか?」

  触れる体がかすかに震えているのに気付き、 もしやと訊ねた。

 「な……っ」

  図星だったのか、 今度こそ真っ赤になって、 恭生は飛び起きようとした。

  が、 ジェフリーの体に阻まれる。

 「くそっ もういいっ どけよっ」

  恭生は両手で自分にのしかかる体を押しのけようとした。

 「ごめんごめん。 悪かった。 もう言わないから。」

  ジェフリーは真っ赤になって怒る恭生に、 愛しさが増してくるのを感じた。

  怒って爪を立てる子猫のような恭生をどうにかなだめようと頬に音を立ててキスをする。

 「ほら、 機嫌直してくれ。」

  何度も何度もなだめるように顔じゅうにキスを降らせると、 押しのけようとする腕の力が

弱まってきた。

  口の横に軽くキスし、 唇に深く口付けていくと恭生の腕がゆるゆるとジェフリーの首に

からみついてきた。

  それに気付き、 口元で軽く笑う。

  そのままキスを深めながら、 手を再度着物の袷に這わせる。

  幾重にも重なった襟元をまとめて一度に大きく開く。

  一旦唇を離して顔を上げる。

  恭生は深く長いキスに意識を奪われたかのようにぼうっとしていて、 自分がどんな状態

かもよくわかっていないようだった。

  そのまま目を落とし、 自分の下にある体に視線をはわす。

  着物を肩まではだけ、 上半身をさらした恭生の姿は薄闇にぼんやりと浮かび上がり

妖艶さをかもし出していた。

  吸い寄せられるように手を大きく上下する胸元に差し伸べる。

 手のひらを滑らせると、 引っかかるものがあった。

 ジェフリーは小さく笑うと、 赤く立ちあがった胸の粒を指の先で転がした。

  途端、 びくんっと下の体が跳ねる。

 「やめ……っ」

  突然背中を電流のようなものが走り、 恭生がはっと我に返った。

  肌もあらわな自分の状態に気付き、 真っ赤になって身をよじろうとした。

  しかしジェフリーが片手でそれを制する。

 「じっとして。 俺を受け入れてくれるんだろう?」

 怯えさせないように優しく囁きながら、 手は更に恭生の体を探検するようにあちらこちらと

動き回る。

  顔を胸によせると、 先程見つけた赤い粒を口に含んだ。

 「あっ……あ……っっ」

  恭生は初めて感じるしびれるような感覚に、 きつく目をつぶって息を荒げた。

  ひとしきり胸の飾りを指と口で弄ると、 ジェフリーの手はそろそろと下半身へと延びていった。

  まだ腰から下を覆っていた着物をそろりと剥がす。

  完全に着物を広げられたことに恭生が気付いたときには、 ジェフリーの手はすでに下着の

中に潜り込んでいた。

 「そこは……っ ジェフリー……あっ」

  あわてて恭生が手で動きをさえぎろうとするが、 快感を促がす指の動きに翻弄され思うように

力が入らない。

  「あっ……あっ……あああっ」

  そのまま絶頂に追い上げられてしまう。

  初めて人の手によって到達した快感の深さに、 直後は何も考えられず、 はあはあと荒い息を

するだけだった。

  しかしジェフリーは恭生の息が整うのを待たず、 さらに奥に手を延ばす。

 「ジェ、 ジェフリー!?」

  奥に触れる感触に恭生が怯えた声を出す。

 「大丈夫だ。 君を傷つけるようなことはしない。」

 「でもそこは……っ」

 「俺はただ君と愛し合いたいだけなんだ。」

  だからお願いだ、 と優しくなだめるようにキスされ、 恭生は不安ながらも小さく頷いた。

  ジェフリーは奥に延ばした手で丹念に自分を受け入れる場所を慣らしていった。

  そして、

 「恭生、 力を抜いて。」

  そう言いながらもう一度唇にキスをすると、 ゆっくりと恭生の中に身を沈めていった。

 「い……っ あっ……あああっ」

  恭生は自分の内に潜り込んでくる異物の異様な感触と鋭い痛みに目を大きく見開いた。

 「き、恭生っ力を抜くんだ」

  とっさに逃げようとする体を押さえつけ、 ジェフリーがさらに奥に入ってくる。

 「ジェ、ジェフリー……っ」

  あまりの苦しさに、 恭生の目から涙が流れる。

 「ごめん、 でももう……」

  恭生の涙を見てジェフリーがいたわるように目元に口付けてくるが、 その動きが止まる

ことはなかった。

  やっと全てが収まったときには、 二人とも肩で息をしていた。

  そのまましばらく恭生が体の中の感触に慣れるまでじっとする。

 「恭生……恭生? 大丈夫か?」

  ジェフリーが心配そうに恭生の顔を覗きこんだ。

  恭生は荒い息を吐きながらもこくんとうなずく。

 「恭生……愛してるよ。」

  恭生の息が収まった頃、 ジェフリーがゆっくりと動き出した。

  また二人の息が荒くなっていき、 恭生は今度は感じたことのない快感に翻弄されること

になった。

  そして二人して絶頂に到達した後、 恭生はそのまま眠るように意識を失ってしまった。