またしばらく歩くと、今度はどこからかいい匂いがしてきた。

「おいしそうな匂い……」

考えれば突然の招待状に興奮して朝から何も食べていなかった。
お腹がぐうっと鳴っている。

くんくんと鼻をうごめかしながら匂いを辿っていくと
ある扉の前に行き着いた。

「お店? ……じゃないよね。 普通の家みたい」

しかし、おいしそうな匂いはそこから漂っていた。

と、
突然、目の前の扉が勢いよく開いた。
「きゃっ!」
「あ……っと悪いっ」

中から現れたのは、大きな籠を持った少年だった。
「悪いっ どっかぶっつけた?」
「だ、大丈夫です」
 
すまなさそうに謝る少年に、何でもないと手を振る。
途端、またいい匂いがしてきた。
それもすぐ近くから。
どこからかと見回し、匂いの元を見つける。
少年の持っている籠からだった。

視線に気づいたのか、少年がにっと笑った。
「もしかして、腹減ってる?」
そう言うと籠の蓋を開き、中を示した。
中にはご馳走が山ほど入っていた。


「よかったら食うか?」








さて、どうしましょう。


もちろんいただきます! 先を急ぐので
ぐっと我慢してその場を立ち去った








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