夜の扉を開いて

 

 

 

 

  「あうっ……うっ、うっ」

  藤見は下半身からの圧迫感にまた涙を振りこぼす。

  苦しさに耐えるようにぎゅっと目を閉じて眉を寄せる。

 「先生、 自分で腰を上げてみろ。」

  その言葉に閉じていた目がぱっと開かれる。

  できないと首を横に振るが、 瀬名生が聞くはずもない。

  「俺の胸に手をついて腰を持ち上げるんだ。 膝に力をこめて。」

  言葉に従うように、 震える腕を瀬名生の胸に置くと何とか体に力を入れようとする。

  がくがくとする膝に力を入れ、 やっとの思いで少し腰を持ち上げる。

  中に入っていた杭が少し姿を見せた。

  と、 瀬名生がぐいっと下から突き上げる。

 「あああっ」

  やっとのことで少し抜け出ていた杭がまた中に戻される。

 「もう一度だ。」

  そこにまた瀬名生の声がかかる。

 「うっ、うっ、うっ」

  藤見は嗚咽を漏らしながらまた腰を持ち上げようとした。

  先程より早く杭が姿を見せる。

  が、 そこでまた瀬名生が腰を突き上げ、 杭は中に戻された。

 「もう一度。」

  何度も何度も繰り返させられる。

  次第に藤見もコツを覚えたのか、 初めよりも楽に腰を動かすようになっていた。

  それとともに、 ずっと藤見を苦しめていた圧迫感が薄れていく。

  そして、 なにかもやもやとした感覚が沸き起こってくるのを感じた。

 「あ……あ……ああ…」

  いつのまにか瀬名生が言う前に腰を上げている。

  腰を上げ、 下から突き上げられるのを待っているようになった。

  その様子に瀬名生はにやりと笑みをもらす。

  その手が藤見の少し首をもたげ出した分身に絡みついた。

 「あああっ、あっ、いやっ」

  突然の刺激に藤見は背中をしならせた。

  そこを瀬名生が大きく腰を突き上げる。

 「あっ! あああっ  いやっ な 何っ ……い、いや……あっ ああああっ」

  藤見は信じられない快感に大きく目を見開く。

  その目は未知の感覚に怯えていた。

  瀬名生は会心の笑みを浮かべると、 さらに強く腰を突き上げる。

  その手はしっかりと勃ちあがった分身を荒々しい手つきで扱いていた。

 「ひっ ああっ あああ……っ やめっ ああっ」

  今まで感じたことのないほどの快感が体の中を襲う。

  瀬名生は仰向いていた体を起こすと、 身悶える藤見の体を抱きしめるようにして

激しく突き上げた。

 「い、いやっ いやっ あっ あっ ああっ」

  藤見はもうすでに初めて味わう快楽に惑乱している。

 「……イイ声。」

  初めて耳にする藤見の嬌声は想像以上に瀬名生の欲望を刺激した。

  藤見の中の自分がどんどん大きくなっていくのが分かる。

 「イイよ。 ホント、 藤見先生、 君、最高だ……っ」

  荒くなっていく息の中で瀬名生はうっとりとつぶやいた。

 「あああっ ダメっ あっ ああっ や、あああああっ」

  快感に翻弄され続けた藤見は、 悲鳴のような嬌声をあげて絶頂に達した。

  瀬名生の手に握り締められた分身からも白濁が迸る。

 「……っ」

  瀬名生も自分を信じられないほどの強さで引き絞る内壁に引きずられ、 内部に

熱い欲望を勢いよく放つ。

  その衝撃に藤見の体がまたびくっと跳ねる。

 「……藤見先生?」

  荒い息がようやく落ち着くと、 瀬名生はぐったりと自分にもたれかかったまま

ぴくりともしない藤見の顔を覗きこんだ。

  藤見はぼんやりとうつろな目をして心ここにあらずの状態だった。

 「藤見先生?」

  もう一度名を呼ぶと、 今度はその声が届いたのかゆっくりと顔が仰向けられる。

  藤見は瀬名生の顔を認めると、 ふわりと笑ってそのまま意識を失った。

  瀬名生は藤見の思いもかけない笑みにふいを突かれ、 ただ呆然とその顔を

見ていた。



 

 



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