夜の扉を開いて

 

 

 

    藤見はカチャカチャとベルトが外される音に目を見開いた。

  瀬名生の手が無造作に下半身を剥いていく。

  今自分の身に起こっている事が信じられない。

 「何を……っ はなっ離して……離せ……っ」

  純然な意志を持って下半身を動き回る手に、 藤見は恐怖を覚えてやみくもに

暴れ出した。

  冷ややかに自分を見つめる目が恐ろしい。

  何とか瀬名生の手から逃れようとするが、 体格からして違う藤見の力では瀬名生に

敵うはずもなかった。

  しかも今の彼は激務と徹夜で疲れきっていて元々の体力すら失っている。

 「やめ……て……」

  すぐに肩で息を始めた藤見は弱々しい声で訴えるしかない。

  しかし、 すでに藤見を玩ぶことに夢中になり始めていた瀬名生は、 彼の嘆願を

聞き入れようとしなかった。

  剥き出しにした下半身に楽しそうな目を向ける。

 「藤見先生、 あまり遊んでいないようだな。 真っ白い太腿して、 ここなんかピンク色だぞ。」

  からかうように言って、 まだ力を持たないそれに指を絡めていく。

 「やあっ! やめてっ 触らないで……っ」

 「あまり大声出すと外に聞こえるぞ。 いいのか、 こんな姿誰かに見られても。」

  怯えて叫ぼうとする藤見に、 瀬名生が耳元で意地悪く囁く。

  途端、 自分のいる場所を思い出した藤見は開いた口を慌ててつぐんだ。

  鍵がかかっているとはいえ、 ここは病院内だ。

  いつ誰が前を通るかわからない。

  怯えた目を向ける藤見に、 瀬名生はにやりと笑うと藤見の分身を握った手に力をこめる。

  途端、 藤見の体がびくりと跳ねた。

 「へえ、 いい反応だな。」

  気を良くした瀬名生はさらに手を上下に動かし出した。

 「ひ……っ や……ああ……」

  藤見がその目を大きく見開いく。

  いやだと言うようにゆるゆると首を横に振る。

 「だんだん硬くなってきたぞ、 感じているのか?」

  手の中のものが重量を増してきたことを瀬名生が藤見に教える。

  言われるまでもなく、 藤見はだんだんと下半身から沸き起こってくる快感に、 自分の体が

瀬名生の手に落ちていっていることに気付いていた。

 「いや、 いやだ……離して……許して……」

  藤見の目から涙が溢れ出す。

  目尻から流れたそれに瀬名生が舌をはわす。

 「イイ顔。 もっと泣けよ、 もっとイイ顔見せろよ。」

 「あ…あ…ああ……い、やあ」

  そのまま舌を耳や首筋に這わせられ、 藤見の背中をぞくぞくとしたものが走る。

  両手を縛められたまま大きく背をそらせた。

  男の熟練した手つきに藤見はあっけなく陥落した。

  手の中に迸る滴りに瀬名生は会心の笑みを浮かべた。

  思った通り、 絶頂に達した時の藤見は壮絶なほどの艶を見せた。

  いつもの冷淡な姿からは想像もつかない。

 「いい様だな、 藤見先生。 いつもの冷たい先生はどこにいった?」

  まだ呆然としている藤見に意地悪く囁きかける。

  その言葉に藤見ははっと正気に返る。

 「はっ離せっ もういいだろうっ 離してくれっ」

  身を捩じらせて体を離そうとする藤見を笑いながら押さえつけ、 瀬名生は無理矢理

藤見の両足を大きく広げた。

  そしてその間に自分の体を入れると開いた足が閉じられないようにする。

 「冗談だろう、 先生だけイイ気持ちになるのはずるいんじゃないか。」

 「まさか……」

  その言葉の意味を悟り、 藤見は顔を青ざめさせた。

  その顔に瀬名生はにやりと笑いかけて見せた。

 





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