楽園の瑕

 

30

 

 

 

    急に弛緩した体に、 サラーラが気を失ったのだと気付いたファビアスは、 それでも力を

失った体から離れようとはしなかった。

  血と精液に汚れる蕾を犯し続ける。

  サラーラは自分から逃げようとした、 自分を嫌ったのだという思いで頭の中が一杯になる。

  抑えきれない怒りと苛立ちが、 目の前の白い体にぶつけられる。

 「許さない……俺のものだ……俺だけのものだ……っ」

  くたりと仰向いた首筋から、 自分があの時つけた痣が目に入る。

  自分の代りだと囁いたファビアスに、 あの時のサラーラは素直に身を預けてきた。

  あれは偽りだったのだ。

  また新たな怒りがこみ上げる。

  赤く残る痣に噛みつき、 思いきり歯を立てた。

  口の中に血の味が広がる。

  白い肌に赤い血が一筋流れた。

  それを見たファビアスは、 暗く怒りに満ちた表情でまたサラーラの体を突き上げ始めた。











  がんがんと頭の中に何かが打ち付けられるような痛みに、 サラーラは意識を取り戻した。

  うっすらと開けた目に入ったのは、 自分に覆い被さるファビアスの姿だった。

  彼が動くたびに、 サラーラの視界が揺れる。

 「…………ひっ!」

  途端に記憶が甦ったサラーラは、 身を強張らせた。

 「気がついたか。」

  ファビアスが意識を取り戻したサラーラに気付き、 確かめるように腰を突き上げた。

 「あああっ」

  また自分の体が揺り動かされ、 サラーラはまだファビアスが自分の中にいる事を知った。

  圧迫感がそれの存在を実感させる。

  「あ……あ……」

  いやいやと首を振るサラーラにかまわず、 ファビアスがまた突き上げを再開する。

  体の中を熱い熱が行き来する。

  しかし、 もう気を失いそうなほどの痛みはなかった。

  サラーラが意識を失っている間に何度も注がれた精液によって中が潤おされ、 サラーラの

苦痛を和らげていた。

  じんじんと鈍い痛みは感じられるものの、 今はそれよりも快感の方がサラーラを支配しよう

としていた。

  ファビアスを受け入れることに慣れてしまっていた体は、 苦痛よりも快感を選ぶ。

  じわじわと湧きあがる快感に、 サラーラは抵抗できなかった。

 「あ……は、あああ……あ……んっ」

  次第にサラーラの瞳が快感に潤んでいくのを、 ファビアスは冷ややかに見ていた。

  深く突き上げ、 中を掻き回すようにして中の弱いところを擦り上げていく。

 「ああっ あああ……んんっ んっ ファ、ビアスさまあ……っ」

  快感に囚われてしまったサラーラが、 ついに嬌声を上げながらファビアスにしがみつこう

と手をのばした。

  だが、 ファビアスはその手を振り払うと、 いきなりサラーラの中から己を引き抜いた。

 「いやっ いやあっ」

  突然快感を奪い取られて、 サラーラが泣き声を上げる。

  必死に手をのばしてファビアスの体を引き寄せようとした。

  ファビアスは無言で身を起こすと、 サラーラのしどけなく開かれた両足をさらに大きく開いた。

  立てられた両膝の間に手を伸ばし、 ある場所に触れる。

  それは今まで自分が征服していた場所とは違う場所だった。

 「あ……な、 何?」

  サラーラは今までとは違うところにファビアスの手を感じ、 戸惑った声を出した。

 「……正式に妃にするまでは、 と思ったが。」

  ファビアスはそう苦々しくつぶやくと、 今まで触れようともしなかったサラーラの女の部分に

指を落とした。

 







                  
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