楽園の瑕

 

17

 

 

 

   「サラーラ?」

  ファビアスはサラーラの恐怖の目が自分の股間に向けられている事に気付いた。

 「サラーラ、 大丈夫だ。 痛くしないと言ったろう。 ゆっくりと挿れるから。」

 「挿、れる……?」

  ファビアスの言葉に、 サラーラは昨夜自分の中に入ってきたものが、 その恐ろしい

ものであることに気付いた。

  信じられないという表情になる。

 「む、 無理……いや……死んじゃう……」

  恐怖に満ちた顔で首を弱々しく振る。

 「サラーラ……」

  ファビアスはため息をつくと、 逃げようとするサラーラの体をぐいっと引き寄せた。

 「いやっ!」

 「サラーラ、 目を閉じろ。 ただ感覚だけを追っていろ。 何も見るな。 怖くないから。」

 「怖い……い、 たい……痛い……」

 「痛くないから……約束しただろう。」

  ファビアスは首を振りつづけるサラーラの目を片方の手で覆うと、 もう片方の手を

再度後孔にそっと差し入れた。

 「あ……っ」

  ぴくっとサラーラの体が跳ねる。

  奥まで差し入れた指で内壁を擦り上げていくと、 薬が効いたままの体はすぐにその

熱を取り戻した。

 「あっ……あっ……」

 「……怖く、 ないだろう?」

  囁きながら、 指をうごめかし続ける。

  じきにサラーラは先ほどのように快感に嬌声をあげはじめた。

 「あ……ああっ も、 っと……っ」

  その声に、 ファビアスは指を中から引き抜きサラーラの腰を持ち上げると、 自分の痛いほど

猛っているものをそっと押し当てた。

  そしてサラーラが快感に朦朧として気付かない間にゆっくりと挿入していく。

 「あ……ああ……何? お、 大きい……」

  うわごとのようにつぶやくサラーラの声には苦痛の色は見えなかった。

  ファビアスはゆっくりと、 しかし着実に自分を内部に納めていった。

  根元まで入れてしまうと、 ふうっと息をつき、 ぼうっとしたサラーラの頬に口付けた。

 「……入ったぞ。 サラーラ……ほら。」

  サラーラの手を取り、 自分を含んだ場所に導く。

 「あ……」

  サラーラはあの恐ろしく大きなものが自分の中にあることが信じられないように、 目を

見開きながら指でその様子を確かめた。

 「入っ……て…る?」

 「ああ、 今俺とお前は一つになっているんだ。」

  そう甘く囁きながら、 サラーラの顔中にキスの雨を降らす。

 「痛いか?」

  サラーラはゆるゆると首を横に振った。

  本当に痛くなかった。

  あんな大きなものが入っているのに、 自分のそこは少しも苦痛を訴えてこない。

  腹の奥の方まで感じるそれに何か充足感のようなものまで覚える。

  見下ろすと、 男の大きなものを含んだお腹がかすかに突き出ている。

  手を伸ばしてその部分をそっと撫でた。

  ファビアスがその様子にううっと唸り声のようなものを喉から発した。

  体の中のものが体積を増すのが分かる。

 「あ……」

  サラーラの口から小さな喘ぎ声が漏れる。

  少し治まっていた疼きがまた再燃し出した。

 「……動いてもいいか?」

  囁くファビアスに、 サラーラはこくりと頷いた。

  体の中の疼きがまただんだんと激しくなっていた。

  自分の内部がファビアスの分身にまとわりついてうごめき出しているのを感じる。

  ファビアスはサラーラの体を気遣うようにゆっくりと動き出した。

  軽く突き上げ、 腰を引く。

 「あ……っ あっ あっ」

  サラーラはファビアスが体を突き上げるたびに体の中を走る快感に目を見張った。

  疼いて仕方のないところを擦り上げられると、 高い嬌声を抑えきれない。

 「ファ、 ビアス……様、 もっと……もっと……っ」

  首にしがみついて、 もっと強い快感をねだる。

  それに応えるようにファビアスの動きがだんだんと激しくなる。

 「ああっ ああっ はあ……っ」

 「イイか? 気持ちイイか?」

 「い、 イイっ イイっ き、 もち……い……っ」

  激しく突き上げられ嬌声を上げながら、 サラーラはうんうんと頷いた。

  あまりの快感に気が狂いそうだった。

 「い……あ、 あああっ だ……め、 ダメ……ファビアス様…もう……もう……っ」

  これ以上の快感にはもう耐えられない。

  そう思った瞬間、 サラーラの体は絶頂に押し上げられていた。

 「あ……あああああああ……っ」

  背をしならせるように精を放つ。

 「サラーラ……っ」

  それに続くようにファビアスもサラーラの内部に情熱の証を迸らせた。

  ぐったりとファビアスの体がサラーラの上にくずれ落ちてくる。

  「サラーラ……」

  激しく息を切らしながら、 サラーラは自分の顔中にキスを降らすファビアスの唇を

目を閉じて受けていた。









                   
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