楽園の瑕

 

16

 

 

 

    サラーラは次第に熱くなる内部に戸惑いを隠せなかった。

  熱いだけではない。

  何か疼くような焦燥感が沸きあがってくる。

 「あ、 あ、 あああ……な、 何? 熱い……中が……い、や……何?」

  訳がわからず、 ファビアスに縋るような目を向ける。

  体の中がおかしくなっていくようで怖かった。

 「ファビアス……さ、ま……」

  思わずシーツを握り締めていた手を離し、 ファビアスに向かって差し伸べる。

  この体の中の熱を何とかして欲しかった。

  疼きもだんだんとひどくなる。

 「ファ、 ビア……ス様あ……っ」

  たまらなくなって涙を浮かべながら救いを求める。

 「サラーラ……」

  上気した頬と潤んだ瞳にファビアスはうっとりと見惚れた。

  差し伸べられた手を取ると、 自分の首に回す。

  サラーラはファビアスの首に縋り付いてきた。

 「あっ、 あっ あ、つい……熱い……」

  疼く腰をファビアスに押し付ける。

  ファビアスは熱に煽られたようにいつのまにか勃ち上がっていたサラーラの分身に、

指をからめた。

 「あああっ!」

  途端に嬌声がサラーラの口から迸る。

  背筋に稲妻が走ったようだった。

  サラーラの目が涙を湛えたまま大きく見開かれる。

  ファビアスは分身をゆっくりと扱き上げる。

  と同時に後孔に差し入れたままだった指をぐるりと掻きまわすように動かした。

 「ああっ! い、 いやっ 何?!」

  熱く疼く内部を掻き回され、 サラーラはたとえようもないほどの快感に瞠目した。

  知らずファビアスの指をもっとねだるように腰がうごめき出す。

  応えるようにファビアスが指で内壁をこすり出す。

 「あっ……あっ……い、 イイ……もっと……っ」

  前後を同時に弄られ、 サラーラはあまりの気持ちのよさに首を振りながら鳴き声を上げた。

 「……可愛いな。 サラーラ、 お前は本当に可愛い。」

  首にしがみつくサラーラの耳元でファビアスは甘い言葉を囁く。

 「離さない……お前は俺のものだ。 そうだろう?」

  ファビアスの言葉に、 初めての快感に翻弄され考えることを放棄したサラーラは、 ただ

うんうんと頷くだけだった。

 「愛してる……決して俺から離れるな。 逃げようとしたら……逃げてもどこまでも追っていく。

必ず探し出して捕まえる。 俺から逃げられると思うな。」

  甘く恐ろしい言葉を囁きながら、 サラーラを手で翻弄し続ける。

  快感に囚われたサラーラはファビアスの言葉の半分も理解していない。

  ただ体の中の耐えがたいほどの熱い疼きを何とかして欲しかった。

 「ファ、 ビアス様……熱い……体の中……もっと……」

 「もっと、 欲しいか?」

 「欲しい、 もっと……もっと……っ」

  泣きじゃくりながらサラーラは訴えた。

  その言葉にファビアスは満足そうに笑うと、 サラーラの上から身を離した。

 「っ! いやっ!」

  体の中から出ていった指を惜しんでサラーラは泣き声を上げた。

  途端体の疼きが激しくなる。

 「いやっ いやっ ファビアス様っ!」

 「大丈夫だ。 ちょっと待て。」

  縋りつこうとするサラーラを押しとどめると、 ファビアスは全ての衣服を脱ぎ捨てた。

  快感に霞んだサラーラの目に、 ファビアスの逞しい分身が目に入った。

  それは太く長く、 隆々と勃ち上がり天を向いていた。

 「あ……」

  サラーラの脳裏に前王に襲われた時のおぞましい記憶が甦る。

 「い、 や……怖い……」

  恐怖が甦ってくる。

 「サラーラ?」

 「いやっ 何……?」

  どうしてファビアスがそんなものを出してくるのかわからなかった。

  その何故だか恐ろしいそれにじっと目を据えたまま、 サラーラはベッドの上を後じさった。

  







                   
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