楽園の瑕
15
気がつくと、
ベッドの上に横たえられていた。 自分の下のシーツのひんやりとした感触に、 はっと我に返る。 「い、 いや……っ」 昨夜の恐ろしい痛みを思い出す。 「サラーラ?」 「いや……痛いのはいや……いや……怖い……っ」 あの耐えがたい苦痛に満ちた時間が甦り、 サラーラは恐怖に怯える声を出した。 「やめて……痛い、 痛い……」 「サラーラ、 大丈夫だ。 今日はお前を辛い目にあわせない。 大丈夫だ。」 「いや……」 「約束する。 大丈夫だ。 」 いやいやと怖がって首を振るサラーラに、 ファビアスは大丈夫、 と根気よく宥めるように 耳元で囁き続けた。 その優しい声にサラーラの恐怖に混乱した心が少しづつ落ち着いていく。 「ほ、 本当に、 痛くない……?」 すでに涙の浮かんだ眼でじっとファビアスを見つめる。 「ああ……約束する。」 ファビアスはそう優しく微笑むと、 白い額にそっと口付けた。 そのままもう一度唇を重ねる。 すでに何度も交わしたそれに、 サラーラはためらいなく口を開いた。 すぐさま侵入してくる舌を迎えるように自分の舌をそっと差し出す。 ぴちゃり、 と小さく音を立てながら舌が絡まる。 「あ……」 軽く甘噛みされて、 思わず声を漏らした。 ファビアスはそのまま唇を首筋から胸へと滑らせていく。 薄い寝着の胸の合わせを開き、 するりと肩から滑り落とす。 あっというまに寝着を取り去られ、 サラーラは全裸でシーツに横たわっていた。 その白い体は羞恥と恐怖に震えていた。 「……怖い……」 ぎゅっとシーツを握り締め、 小さくつぶやく。 「大丈夫だ。」 ファビアスはもう一度優しく囁くと、 サラーラの両足を広げ、 間に腰を下ろした。 サラーラの頬が羞恥に真っ赤になる。 その顔を見下ろしながら、 ファビアスは自分の衣服を静かに脱いでいった。 あらわになった上半身にサラーラは驚きの目を向けた。 がっしりとした体を綺麗に筋肉が覆っている。 小麦色に焼けた肌が自分とは対照的だった。 ファビアスは上半身だけ裸になると、 ベッド横の台から昨夜とは違う小瓶を取り出した。 薄い紫色のそれにサラーラはまた昨夜のことを思い出して怯えた表情を見せた。 「大丈夫だ。 これはお前の痛みを取り除いてくれる。」 「痛く……ない?」 「ああ、 全然痛くない。 それどころか気持ちがよくなる。」 ファビアスは中身を手のひらに出すと、 サラーラの開いた両足の奥に手を差し入れた。 「あ……っ」 びくりとサラーラが大きく身震いしながら、 自分の足の奥に差し入れられる手に怯えた 目を向けた。 シーツを握り締める手に力が入る。 指が後孔に触れた瞬間、 ひやりとした感触がした。 どろりとした液体をまとった指が少しづつ中へと入っていく。 昨夜と同じだった。 気持ちが悪い。 サラーラはがたがたと体を震え出すのを抑えることが出来なかった。 「サラーラ、 少し我慢してくれ。 すぐによくなる。」 ファビアスは怯えるサラーラを宥めながら、 小瓶の中身……媚薬を中に塗りこめていく。 何度も内部を解すようにしながら薬を奥の方まで塗る。 しばらくすると、 サラーラの表情が少しづつ変化し始めた。 「あ……何? あ……ああ…あ、 つい……」 「効いてきたか。」 ファビアスがほっとしたように口元を綻ばせた。
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