Dear my dearest

 

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    耳元で囁かれる声の熱さに、 ニコルは知らず背中がぞくりとするのを覚えた。

  今までに聞いたことのない声の調子。

  どこか切羽詰ったような声と共に体を強く抱きしめられた。

  欲しい、 という言葉にまた頭がぼうっとする。

  どうしてそんなことを、 と思った。

  だって自分はもうデュークの奥様なのに……もうデュークのものなのに………

  キスの余韻の覚めやらぬ頭でぼんやりと考える。

 「………僕、 もうデューク様のものだよ? だって、 デューク様と結婚したんだもの。 デューク様の奥様

だもの」

  これ以上何があげられるというのだろう。

  そんな疑問を込めて答える。

  ニコルの体にまわされた腕にますます力がこもる。

 「………そうだな。 ニコルは私の花嫁だった。 大切な……誰よりも大切な花嫁だ」

  結婚、 という言葉が頭の中にひっかかった。

  自分は何か忘れているような…………

  しかしその時ニコルの腕がデュークの首に回され、 頭の中に浮かんだかすかな疑問はすぐに

消え失せてしまった。

 「ニコル………」

  目の前の少年だけが全てになる。

  無防備にさらされた首やよれた襟元から覗く白く滑らかな肌に目が釘付けになる。

  吸い寄せられるように顔を落とした。

 「……っん!」

  首筋に強く吸いつかれ、 ニコルがびっくりしたような声を上げた。

  が、 デュークの動きは止まらない。

  細い首に幾度もキスを落としながらその手が胸元のリボンをほどく。

 「デュ、 デューク様……?!」

  するりと肩から寝着を落とされ、 ニコルが戸惑った目を向けた。

 「……しっ ………ニコルは私のものなんだろう? だったら君の全てを見せてくれ」

  ニコルの顔が真っ赤になった。

  デュークが何を望んでいるのか、 おぼろげに悟ったのだ。

  ニコルとて夜の行為のことを全く知らないわけではない。

  だが、 それが自分のことに結びつかなかったのだ。

  そうだ……自分とデュークは夫婦なのだ。

  その言葉の意味に気付く。

  自分の全てが見たいと彼は言った。 ということは………

 「デューク様……」

  にわかに不安がこみ上げる。

 「いい子だね、 ニコルは………私に全てまかせて……」

  ニコルの様子から、 彼が自分の欲するものを悟ったのだと知る。

  安心させるようににっこりと笑いかけると、 真っ赤に染まった首にまた唇を落とした。

  滑らかな肌の感触が唇に心地よい。

  ドキドキと速く脈打つ鼓動が唇を通して伝わってくる。

  そろりと手をはだけた服の間から差し入れると、 びくりと体が跳ね上がった。

  しかし抵抗する様子もなく、 ただじっとデュークの行為を受け入れている。

  少し顔を持ち上げて見ると、 目をぎゅっと閉じている。 ………赤い唇が少し震えていた。

 「ニコル、 怖くないから……」

  もう一度頬に優しいキスをすると、 ニコルは目を開け、 かすかにコクンと頷いた。

  そして首に回していた手に力をこめる。

 「………いい子だ」

  デュークは満足そうに微笑むと、 また行為を再開した。

  はだけた寝着をさらに大きく広げる。

  目の前に現れた白い胸に目を細めた。

  女性のような膨らみがあるわけではない。

  うすく平たい胸だった。

  だが、 そのまぎれもない少年の胸に欲望が込み上げる。

  誘うようにほのかに色づいた胸の突起に指先でそっと触れる。

 「…っ!」

  途端に体が大きく跳ね上がった。

  感じやすいな………

  少年の反応に口元を綻ばせる。

  そしてさらに少年を感じさせるために体の探索を開始した。