Dear my dearest

 

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    ニコルは何度も何度も唇をついばむように口付けされて、 ぽうっとしてしまった。

  優しいキスが心地いい。

  これが、 本当のキス………?

  父や母とのおやすみのキスなどとは全く違っていた。

  触れたところからじんわりと心地よい熱が生まれてくる。

  それがまた気持ち良くて、 すぐに次が欲しくなる。

  何度キスされても足りなかった。

  もっと、 もっと欲しい………

  おもわずデュークの服をぎゅっと握り締める。

  そんな気持ちが表情に表われていたのだろう。

  少し顔を離したデュークがふっと微笑む。

  そして今度はもう少し深いキスをしかけてきた。

  先程までとは違い、 唇を包み込むようにしっとりとキスされる。

  あまりの心地よさにニコルの口からほうっとためいきが漏れた。

  そんなニコルの姿にデュークが優しい目を向ける。

  ぼんやりと余韻に浸るニコルの頬を指先で撫でる。

  そして頬にちゅっとキスを送る。

  ニコルは夢見心地のまま、 デュークをうっとりと見上げた。

 「好き………侯爵様が大好き……」

  そう言って安心したかのように身を預けてくる少年の体をデュークはその腕で優しく包み込んだ。

 「……嬉しいよ、 ニコル。 ほんとうに、 とっても嬉しい」

  耳元でそう囁かれ、 ニコルはにっこりと笑った。

  さっきまでの恥ずかしさはどこかに消えてしまった。

  嬉しい、 とデュークは言ってくれた。

  よかった………侯爵様も僕のこと、 好きでいてくれるんだ……

  抱きしめる腕から暖かさが流れこんでくるようだった。

  ぎゅうっと背中に抱きつくと、 優しく抱き返してくれる。

  好きな人に抱きしめられることがこんな心地よいなんて、 知らなかった………

  穏やかで、 暖かくて、 そしてちょっと切なくて………そんな気持ちが胸に込み上げてくる。

 「好き……大好き……」

  そう小さくつぶやくと、 デュークが答えるように額や頬にキスした。

  何度でも言いたかった。

  何度言っても足りなかった。

  だから心のままに何度もそう口にする。

  もう恥ずかしくなかった。

  自分の言葉にデュークが優しいキスで答えてくれるから。

  嬉しい、と言ってくれるから。

  僕は侯爵様の奥様なんだもの…………

  好きと言えることが嬉しかった。

  言える相手がデュークで良かった、 と思った。

  良かった、 侯爵様に会えて。

  そう心から思う。

  良かった、 侯爵様が僕の旦那様で………侯爵様と結婚できて、 良かった………

  そう思いながらニコルは優しい腕の中でそっと目を閉じた。