Dear my dearest






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「あ・・・ふうん・・・・・・」

 下肢から込み上げてくる快感に、ニコルは甘い吐息を漏らした。

「ニコル、ここは? 気持ちいいかい?」

「ん・・・デューク様・・・僕、変・・・体がとっても・・・熱い・・・の・・・」

 すでに一度放出し終えた分身をまた弄られ、快楽に耐性のないニコルは経験したこともない激しい快感の嵐に

翻弄されっぱなしだった。

 一度小さくなったはずの分身は、デュークの更なる愛撫にすぐに元気を取り戻し、真っ赤になって新しい雫を

次々と溢れさせている。 びしょびしょになったそれを、デュークはさも愛しそうに撫で回した。

 何度もキスを落とした首にまた唇をつける。 首筋から胸へと続くラインを何度も舐め上げる。 滑らかな肌の感触が

とても気持ちいい。

「どこが変なんだい? 君は可愛いよ。 とっても可愛い・・・・・・」

「あ、あんっ」

 くいくいっと分身を握った手が巧みに動き、ニコルの白い体がぴくぴくっと跳ねた。

 全身がピンク色に上気し、幼いながらもなんともいえない色気を漂わせ始めたニコルにうっとりとした視線を

這わせながら、デュークはいよいよかと己の準備も始めた。

 片手でなおもニコルを愛撫しながら、もう片方の手で自分の衣服を器用に脱いでいく。 その滑らかな動きは

さすがに慣れたものだった。

 瞬く間に全ての衣服を脱ぎ捨てたデュークは、快感の波に翻弄され、ぼんやりとした視線でただ喘ぎ声を上げ続けている

ニコルにゆっくりと覆い被さった。

「ニコル・・・・・・」

「ん・・・・・・あ・・・・・・あ?」

 ぼうっとしていた視線が、突然はっと正気の色を取り戻す。

「デュ、デューク様っ 何? 何してるの?」

 突然信じられないところにデュークの指が触れ、ニコルは慌てて飛び起きようとした。 が、デュークの体に阻まれて

起き上がることはできなかった。

「デュ、デューク様・・・っ」

 体の動きを封じ込められた状態で、ニコルは訴えるようにデュークを見上げた。

「しっ ニコル・・・じっとして。大丈夫だから」

「で、でも・・・・・・」

 自分でも直に触れたことのない恥ずかしい場所に、またデュークの指が伸びてくる。

「デューク様っ! だめっ そんなところ、触っちゃだめっ」

 だめだと体を捩り、その手から逃れようとする。

 信じられない。 どうしてそんなところを触ろうとするのか。 そこは、そこは・・・・・・。

「ニコル、じっとしていないと、君を愛してあげられないよ」

「だって、そこは触るところじゃないもんっ そんなところ、汚いから・・・っ」

 真っ赤になって、必死にだめだと首を振るニコルに、デュークはにっこりと笑いながら、小さい子供に教えるように

優しい声で言った。

「汚くなどないよ。 ここは私が君を愛するための大事な場所なんだから」

「え?」

 何かとんでもないことを聞いたような気がする。

 ぴたりと体の抵抗が止み、ニコルは目をぱちくりさせて、デュークを見上げた。 

 愛する・・・? 愛するって・・・・・・何が? どこが? ・・・・・・・・・ここが?

「・・・・・・・・・」

 どうして? どうしてこんなところが・・・?

「????????」

 訳がわからず、ニコルの頭の中はパニック状態だった。

 そんなニコルに、デュークはなおも優しく言った。

「赤ちゃんを作る方法は知っているかい? 女性と男性が愛し合う方法だ」

「・・・・・・・・・うん」

 それなら知っている。 

「いつか、馬番のジェフが教えてくれたから・・・・・・種付けの時も見せてくれたし。 人間もあれとおんなじでしょう?」

「種付け・・・・・・」

 ニコルの言葉に、デュークは一瞬くらりと眩暈を覚えた。 自分のモノが萎えてしまいそうになるのを必死に押し止める。

 が、気分が少し落ち込んでしまったのは仕方がないだろう。

 馬・・・・・・馬と同じ・・・・・・。

 まさか馬と一緒にされるとは思わなかった。 しかも種付け。 

 ・・・・・・・・・その馬番のジェフとやら。 明日になったら即刻首にしてやる。

 恨めしい気分でそう心の中で呟く。

「デューク様?」

 自分がどんな爆弾を口にしたのか知らず、ニコルはなおも真っ赤な顔でデュークを見上げていた。 その目には

不安の色が色濃くある。

 デュークははっと我に返ると、ニコルに安心させるようににっこりと笑った。 が、その口元がかすかに引きつっている

のは仕方のないことだろう。

「いや・・・・・・そ、そう。 種付け・・・・・・そうだね。 これも一種の種付けに・・・なるかな」

 そう口にしてしまう自分が嫌になる。

 が、ニコルにはそんなデュークの胸の内など知る由もない。

 ただ、デュークが口にした言葉ばかりが気になる。

「た、種付け? 種付けって・・・これ? デューク様、種付けするの? 誰に? ・・・・・・って僕?」

 ・・・・・・・・・・・・だからそう種付け種付けと連呼しないで欲しい・・・・・・・・・。

 ニコルの無邪気な言葉が、さらにデュークを窮地に陥れていく。

 なんだか本当に自分が動物にでもなった気分だった。

 しかしニコルはデュークに知らされた驚愕の事実に心を奪われ、デュークの様子がおかしいことに気づかない。

「だって、デューク様、僕男なのに、 なのに種付けっておかしいです。 それに僕の体じゃあ・・・・・・あっ!!」

 一人でぐるぐると考えていたニコルは、自分でデュークの行為の意味を理解した。

 みるみるその顔が真っ赤になり、そして真っ青になる。

 そして、次の瞬間、とんでもない行動に出た。