Dear my dearest






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 くうん・・・・・・。

 腕の中の子犬が甘えた声をあげた。

 カディスは目を細めてその狭い額を指先で撫でる。

「お腹がすいているのでしょうか? ニコル様と一緒に知らない場所を冒険してきたみたいですね。

ちゃんとニコル様をお守りできましたか?」

 自分の額を撫でるカディスの指に気持ちよさそうに目を細めていたトートは、ニコルの名にぴくんと耳を立てた。

 そして、尻尾を振りながらニコルとデュークが消えた階段に目を向ける。

 その期待に満ちた目に、カディスは笑って首を振った。

「だめですよ。 今は連れていけません。 今日ばかりは私はデューク様の味方です。 ちゃんとニコル様と

仲直りしていただかなくてはね」

 しかし腕の中の子犬がカディスの言葉を理解できるはずがなく、ジタジタと床に下りようと暴れ始める。

「こらこら。 お二人の所に行こうとしているなら許しませんよ。 野暮なことはやめなさい。 今お前が行っても

お邪魔になるだけです。 それよりも美味しい食事をあげましょう。 今日は特別です。 ご馳走を用意して

あげましょう」

 食事、という言葉に、またトートの耳がピクッと動く。 目が期待に輝く。

 尻尾がぶんぶんと勢いよく振り回されるのを見て、カディスはまた笑った。

「お前にはまだまだ色事よりも食べ物の方がいいようですね。 でもそのうちお前もお年頃になるのでしょうね。

そのときには私が可愛いお嫁さんを探してきてあげましょう」

 意味がわかっているのかいないのか、ワンッと子犬が甲高い声で鳴く。

 カディスはもう一度笑みを浮かべると、子犬を腕に抱いたまま、落ち着いた足取りで廊下を歩いていった。
















「私に全てまかせてくれるかい? 怖いことはしないと約束するから。 できるだけ痛くないように気をつけるよ」

「い、痛いの?」

 ニコルがびくついた声を出す。

 しまった。 つい口を滑らせた……。
 
 デュークは内心舌打ちをした。

 安心させるつもりが、かえって不安を大きくしてしまった。

「デュ、デューク様。 痛いこと、するの? 僕、痛いの嫌だ・・・・・・」

 ニコルの目が不安に揺れる。 

 これってデューク様と夫婦になるための、幸せな行為なのではないのか? それなのに痛い思いをするなんて、

そんなのおかしいのではないか。 前の時は気持ちがいいばかりだったのに・・・それだけじゃだめだなんて。

 ニコルの不安は大きくなるばかりだ。

「大丈夫だよ。 最初だけだから、最初だけ、ほんの少しだけ我慢すれば後は気持ちがよくなる」

「さ、最初だけ? 本当に?」

「ああ、本当だよ。 後は気持ちがいいだけだ。 きっとニコルも好きになるよ」

 そう宥めながら、内心デュークは複雑な気持ちだった。 まるで自分が幼けない子供を騙している悪い大人に

なった気分だ。 ・・・・・・いや、実際そうなのだが。

 しかしニコルは自分の妻なのだ。 誰が自分の行為を咎めるというのだ。 

「ニコル、私と本当の夫婦になろう」

 デュークは優しく声をかけながら、甘い言葉で不安に揺れるニコルの心を溶かしていった。

「本当の夫婦?」

 その言葉にニコルがぴくりと反応する。

「そう、本当の。 ニコルを本当に私の妻にしたいんだよ。 ずっと一緒のいられるようにね」

「ず、ずっと一緒? デューク様と一緒にいられるように・・・・・・」

 ニコルがじっとデュークを見上げる。

 大好きな大好きなデューク様。 ずっと一緒にいたい。 ずっと彼の奥様でいたい。

 その気持ちがニコルを決心させる。

「ぼ、僕、頑張る。 頑張って痛いの我慢する。 デューク様の本当の奥様になりたいから頑張る」

 そう言ってぎゅっと目をつぶった。

 さあどうぞ、と言わんばかりに両手を広げ、体を強張らせるニコルに、デュークは思わず苦笑した。

「ニコル。そんなに緊張されるとかえって私が悪い事をしているようじゃないか。 ・・・・・・もっと体の力を

抜いて・・・・・・ほら、前のように気持ちよくなってごらん」

「きゃう・・・っ」

 まだ足の間でおとなしく眠っているニコルの可愛い少年に指を絡ませる。

 途端にニコルの口から驚きの声が上がった。

 いきなりそこを触られるとは思っていなかったのだ。 以前デュークによって与えられた、あのどうにかなって

しまいそうな快感の一時を思い出す。

 また、あんな風にされるんだ。

 思ったニコルの頬がかあっと赤くなった。

 じっと息を凝らして見下ろすと、デュークの長い指が自分のモノに絡まっているのが目に入った。 

 指がゆっくりと動くにつれ、体の中にじんと熱いものが込み上げてくる。 それが快感なのだと、

今のニコルはもう知っている。

 デュークの巧みな愛撫に促されて、ニコルのものはみるみると成長していった。 それを自分の目で

確かめたニコルはまた頬を赤くした。 

「ニコルのここは素直だね。 私に触られるのをこんなに喜んでいる」

「いや、デューク様、言わないで・・・・・・」

 デュークにからかい混じりにそう言われ、ニコルは顔を赤く染めたまま、咎めるように彼を睨んだ。

「どうして? 私は嬉しいよ。 ニコルがいい気持ちになっているんだとわかってね」

 言いながら、なおもニコルの快感をさらに引き出そうと巧みに指を動かしていく。

「あんっ」

 体の中を走る快感の波に、ニコルの口から小さな嬌声が漏れた。 少年の体がぶるりと震える。

 ピョコリと完全に勃ち上がった少年のものに、デュークは満足そうな笑みを浮かべた。

「一度出してしまおうか。 その方が体の緊張が解れて後が楽だろう」

「え? 何?・・・・・・きゃんっ!」

 いつの間にか胸に顔を寄せていたデュークが、その頂の赤い実をぺろりと舐める。

 その瞬間体に走った刺激に、ニコルの口からまた甘い声が洩れた。

「ニコルはここを弄られるのも好きだろう? いい声で鳴いてくれたね」

「いやっ デューク様の意地悪・・・っ」

 デュークの言葉に、恥ずかしさのあまり、ニコルは真っ赤な顔で自分の胸にある彼の頭を両手で

ポカポカと叩いた。

「痛いよ、ニコル」

 少年の可愛い抵抗に笑いながら手で防ぐが、言うほど痛いわけではない。 

「いけない子だね。 私は君を愛したいだけなのに。 それともニコルは旦那様の言うことを聞けない? 

私に愛して欲しくない?」

 わかっていてそう意地悪く尋ねる。

「っ そ、そんなことないもん」
  
 ニコルが慌てて首を振る。

 そんなことあるはずがない。 デュークに愛して欲しい。 だって、ニコルの旦那様はデュークだけなのだから。

 思ったとおりの返事に、デュークはにっこりと笑った。

「じゃあおとなしく私に愛されなさい」

 いつのまにか、ニコルの体からは緊張が消えていた。

 デュークはさらにニコルの心からも完全に不安を取り除くため、そして今夜こそ自分の欲望を遂げるため、 

さらに愛撫の手を伸ばしていった。