温もりの場所
「ん…………ん……んん?」 ジェフリーは胸にかかる重みに目を覚ました。 目を覚まして、 自分が眠っていたことに気付く。 眠るつもりはなかったのだ。 あまりの暑さについつい冷房の温度を下げすぎ、 反対に肌寒くなってきたので温度を上げようとして ふとベッドの布団が目に入った。 触るとふんわりとした気持ち良さが手に伝わり、 気がつけば布団に包まっていた。 そのまま温かさにほっとして、 つい眠ってしまったのだ。 起きあがろうとしたジェフリーは、 先程目が覚める原因になった重みに再度気付いた。 視線を下げて正体を確かめようとして、 硬直する。 「………恭生?」 まだ夢を見ているのかと思った。 起きあがろうとしかけた不自然な体勢のまま、 固まる。 まじまじと見るが、 どう見ても恭生だった。 「どうして……」 何故恭生が自分と一緒にベッドで寝ているのかわからない。 一体いつのまに……… 訳がわからず、 じっと恭生の寝顔を見ていたジェフリーだったが、 そのうちだんだんと様子が変わっていった。 じっと見つめる目の色が変わっていく。 その視線は恭生の顔から体へと降りていった。 寝乱れた浴衣が恭生の肢体を艶かしく見せる。 浴衣がずり落ちかけ、 剥き出しになった肩が目に眩しい。 前の合わせがはだけ、 胸があらわになっている。 そしてジェフリーにぴったりとくっつけられた下半身が……… 冷房に冷やされて寒いはずの部屋の中で、 ジェフリーは額に汗をにじませた。 さ、 触りたい……… 手がうずうずしだす。 目の前にしどけなく肢体を晒す恭生に、 ジェフリーの欲望が疼き出す。 しかしこんな、 眠っている時に手を出して彼が目覚めたら……… 間違いなく自分に振りかかるだろう罵声と軽蔑の眼差しが、 ジェフリーを苦悶させる。 触りたい……しかし恭生の怒りが……でも触りたい………… 胸に眠る恭生をのせたまま、 ジェフリーは煩悶しつづけた。 だらだらと汗が流れ出す。 体に伸ばしかけられた腕が、 中途半端な状態で手をわきわきとさせる。 「ん…………」 中途半端に起きあがったジェフリーの体との間から、 冷やされた冷たい空気が布団の中に流れこみ、 恭生が寒そうに体を丸めながらジェフリーの胸に顔を埋める。 その仕種にジェフリーの煩悩がさらに刺激される。 触りたい………………………っ!! どうにも我慢のしようがなくなったジェフリーの欲望が、 心の中のやめておけという言葉を蹴散らした。 「恭生…………っ」 反転して恭生の体を自分の下に敷きこむ。 はだけられた胸に夢中で吸いついた。 「んん………な、 に?」 突然寝心地の良かった場所が動き出し、 恭生が顔をしかめる。 「な、んだよお…………眠い……」 半分眠ったまま、 自分の胸に吸いつくジェフリーの首に腕を回してぎゅっとしがみついた。 「ね、かせて………」 口を尖らせて文句を言う恭生の仕種に、 ジェフリーの脳が沸騰する。 は、 鼻血ふきそう……… 普段は絶対見せてくれない可愛い仕種と甘えた口調にくらくらする。 これで勃たなきゃ男じゃない。 愛欲の虜になったジェフリーは、 欲望の迸るままに恭生に襲いかかった。 吸いついていた胸を両手でまさぐりながら、 キスをあちらこちらに落としていく。 胸から腹、 臍の穴まで舌で舐めながら、 頭をだんだんと下に下げていった。 進路を妨害する帯を外そうとして、 その手を止めた。 「浴衣を着たままというのも………」 にんまりといやらしい笑みを浮かべると、 帯を飛び越してその下の浴衣の合わせから覗く 太腿にキスを落とした。 そろそろと上に上がってまだおとなしく眠っている恭生の分身を下着の中から取り出す。 そっと先端を舐め口に含んで舌で愛撫を施していくと、 だんだんと固くなっていくのがわかる。 さらに手と口で愛撫していくと、 さすがに異常を感じたのか、 頭上で恭生が目を覚ます気配がした。 「んん………あ……ああ…ん、 な、 何……っ」 目を開けた恭生は、 自分の下半身に吸いつくジェフリーの姿を目にして眠気が一気に吹っ飛んだ。 「ジェ、 ジェフリーっ!! お、お前何やって…………あうっ」 慌てて起きあがろうとするが、 下半身に刺激を送られ、 またベッドに沈没する。 「や、 めろ………って…!」 下半身からの刺激に喘ぎながらなおも抗おうとする恭生に、 ジェフリーが目指すところに手を伸ばす。 自分を受け入れてくれる可愛い場所に、 恭生の先走りに濡れた指を差し入れた。 「あああっ」 するりと入りこんだ異物を、 慣れた内部が絡みつく。 もうその後は完全にジェフリーのペースだった。 「い、 いかげんに、 しろー………っ!」 ジェフリーのもので貫かれ散々に嬌声を上げさせられた恭生は、 息も絶え絶えになりながらなおも自分を 貪り続ける男の頭をごいんっと殴った。 「恭生が悪い。 そんな姿でベッドに入りこまれたらどうぞって言ってるのと同じだろう。 いただかない方が 失礼じゃないか。」 「な…………っ!!」 しらっと言いのけるジェフリーの言葉に、 恭生はぱくぱくと口を開くだけで言葉が出ない。 そんな恭生にジェフリーはさらに絶倫さを見せつけた。 果てたはずのジェフリーがまた力を持ち出す。 自分の中でみるみる固さを取り戻していくその感触に、 恭生の顔が引き攣った。
結局思う存分ジェフリーに貪られてしまった恭生は、 夜になっても部屋から出ることができなかった。 ジェフリーのベッドの上で、 じんじんと痛んで力の入らない腰を抱えながら固く誓う。 もう絶対に眠っているジェフリーの布団には潜り込むまい、 と。 すっきりと満足気に隣でまた眠りについたジェフリーを見ながら、 恭生は己の愚かな行動を 後悔するしかなかった。
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