冬の瞳
                 

 

  気がつくと辺りは血の海だった。 見下ろすと自分の服も手も顔も血で赤く染まっていた。

  目の前には骸が一体横たわっていた。 幼い頃から見慣れた顔が、 目を見開いたままこちらを向いて

いるが、 その口から言葉が出ることはもうない。

 「ユール!」

  突然あがった叫び声にゆるゆると顔をあげると、 一人の男が信じられないという顔をして彼を見ていた。

 「なんてことを……。 エリヤ、 お前……っっ」

  いつも優しい笑みを浮かべて自分を見ていた瞳が冷たく凍てついていくのを、 エリヤはぼんやりと眺めて

いた。