「嬉しいな。僕、パーティに招待されたのって初めてなんです」
廊下を歩きながらも、ニコルはにこにことしきりに話しかけてきた。
そのあまりの可愛さに思わず抱きしめそうになる。
が、
背後からずっと向けられ続けている視線の鋭さに
手が出せなかった。
「そうだ。 僕、王子様にってケーキ焼いてきたんですよ。
エリヤ王子様、気に入ってくださるかなあ」
そう言いながら、
抱えていた箱の蓋を開けた。
見ると、
中にはクリームと果物がいっぱい飾ってある美味しそうなケーキが入っていた。
「どうですか?
屋敷のコックさんに教えていただいて
この一ヶ月間、ずっと練習していたんだけど……」
えへへ、と恥ずかしそうにそう言う。
本当に美味しそうだった。
「きっとエリヤ王子も気に入ってくれるわよ」
そう言うと、ニコルはぱあっと顔を輝かせた。
「ほんと? 本当にそう思いますか?」
「もちろん」
そう断言する。
ニコルが本当に嬉しそうに笑うのを見て、こちらまで嬉しい気持ちになった。
と、
「あっ!!!」
隣を歩いていたニコルがいきなり悲鳴を上げた。
そして、ベタンッと床に転んでしまった!
その拍子に、手にしていた箱が飛び、
中のケーキが貴方の服にべったりと………。
さて、どうしましょう。
急いで服についたクリームを洗いに行く | 服が汚れてしまってはどうしようもないので 仕方なくパーティを欠席することにする |