二周年記念企画 「Treasurehunt2」 ショート




 

              one






 ふと、目が覚めた。

 しん、と静まり返った真っ暗な部屋の中。 

 急に孤独感が襲ってきた。 ……この暗い世界に自分一人しかいないのでは、と。

 たまらなくなって、起き上がろうとして、自分を抱きしめる腕に気づいた。

「あ………」

 見上げると、男の寝顔があった。 

 ………そうだった、 自分は一人じゃあなかった。

 昨日からこの恋人と一緒に暮らし始めたのだった。。

「ん………」

 じっと男の寝顔を見ていると、視線を感じたのか、男は眠ったまま身じろぎすると

さらにぎゅっと自分の腕の中の体を懐深く抱き抱えた。

「……っ」

 胸に頬を当てる形になり、慌ててもう一度男を見上げた。

 気持ちよさそうに眠り続ける彼。

 ほっと息をつき、裸の胸に頬を当てる。

 トクトク、と規則正しい鼓動が聞こえてくる。

 口元に笑みが浮かんだ。

 優しい音。

 目を閉じると、かすかに窓の外の往来を車の通り過ぎる音が聞こえた。

 ………一人じゃ、ない…・・・…。

 温かい腕が自分を抱きしめている。

 だんだんと眠気がやってくる。

 トクトクトク…、と恋人の鼓動を聞きながら、心地よい眠りに落ちていった。




 ………ここが、自分のたった一つの居場所。

 











戻る