勝負はこれから        

 

 
 キュッキュキュッ。体育館の床を走り回る白と赤のユニフォームをきた少年達。 
 点数は互いに65。
 今、ボールを持っているのは白のユニフォームを着た茶髪の少年。
 ダンッダンッダンダン…ダンッッ!ディフェンスを抜いて少年がゴールへと走って行く。
 キュキュッ。ヒュッ、バスッ。3Pラインの手前で止まり、シュートを打つ。
 ボールは綺麗な放物線を描いてゴールに入った。
 ビーーーーーーーーーー!!!!
 その数秒後、試合終了のブザ−がなった。
「68対65!白の勝ち!」
「ぃよっしゃあーーー!」
 審判の結果を知らせる声に重なって聞こえるのは勝った白チームのメンバー達の勝利の叫び。
 彼らは叫んだ後、最後のシュートを決めたチームメイトの所へと駆け寄って行った。
「おい、亮!やったな!」
「最後の3Pシュートカッコよかったぜ」 
 亮と呼ばれた少年の肩を叩きながら口々に言うチームメイトたち。
 亮は、笑顔でそれに答えている。
 数分たった後、
「集合!」
 監督の集合をかける声。
 白チームの少年達は監督のもとへ走って行った。
 赤チームの少年達は既に監督の傍にいる。
「よし、全員集まったな。今日の部活はここまでだ。全員で片付けてから帰れ。以上!」
「あっした!(ありがとうございました!)」
 監督が体育館を去った後、ボールの入ったカゴを皆で倉庫に片付け着替える為に
 バラバラに散らばり、口々に喋りながら着替える。
 亮は着替え終わった後、きょろきょろとあたりを見回し一人の少年を探す。
 ほどなくして探している人は見つかった。
 誰とも喋らず一人黙々と着替えている。 
 亮は一人にっこりと微笑むとその人物のもとへと歩いていく。
「智!一緒に帰ろう?」
 亮に智と呼ばれた人物はちらりと亮の方に視線をやり誰が自分に声をかけたのかを確かめると
視線をもとに戻し、小さな声でああと返事をした。
 亮はその反応にすこし困惑した表情を見せたが、智の着替えが終わった事を知り、
わずかな困惑を残したまま二人連れ立って校門をくぐった。
「でね。そのときに…って智、聞いてる?」
も うあと数十メートルも行けば家に着くという時、聞いているのかいないのか
微妙な反応を返す智に亮はそう問いかけた。
「…聞いてる」
「嘘。聞いてないでしょ」
「…聞いてる」
 頑固に聞いてると言う智に埒が開かないと思った亮はじゃあ、とばかりに質問を変えてみた。
「なんで怒ってんの?俺、何か悪いことした?」 
「…怒ってない」
「それも嘘。もう、17年も幼なじみやってるんだよ?誤魔化されないよ」
「…」
 嘘と決めつける亮を前に黙り込む智。
 黙ったのはどうやら図星を指されたかららしい。
「ねぇ、俺何か悪いことした?」
「…亮は悪くない。俺が勝手に怒ってるだけ」
「何に怒ってるのさ」 
「今日の試合で亮に負けたこと…。これで10敗目だから…。何か悔しかった」
「何だ。そんなことか」
「俺にとってはそんなことじゃない」 
「そんなことだよ。だって俺、智に勝てないもん」
「なんで?」
 いつの間にか家に着き亮の家の前で話す二人。
 智は亮のいったことがどうも分らないらしい。
「ん〜?それはね、俺が智の事とっても愛しちゃってるからvv 惚れた弱味ってやつだよ」
 予想もしなかった言葉に固まる智。
 固まった智を楽しそうに見る亮。
 その頬にチュッと軽いキスを送ってからじゃあまた明日ねと家の中に入って行く。
 キスをされた頬を押えてさらに固まる智。
 1分後、これは夢だと呟きながら亮の家の隣の自分の家に入って行く智。
「言っちゃったもんはしょうがないよねぇ。ふふ、もう隠す必要無いんだから覚悟、しててよ?智」
 彼は、家の中でそう亮が呟いてたことを知らない。
END    
  

Vitalis」のケイさまから相互リンク記念にいただきました
う〜ん、いいですねえ。 なんか初々しいです。
さすが現役学生、真木にはとても……。
ケイさま 本当にありがとうございます
VV





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