「何をぼうっとしているっ! 早く来いっ!」
痺れを切らしたその男性がつかつかと近寄り、ぐいっと腕を掴んだ。
そしてそのまま強引に怪我人の側へと連れて行かれた。
「あの、私……っ」
何をどうすればいいのかわからずおろおろする。
「病人がいるのに知らん振りか。 さっさと119番に電話しろ。
それから何か縛る布を探せ。ハンカチでも何でもいい。
なければ誰かそこらにいる奴に聞いてこい。」
「あの……」
「さっさとしろっ!!」
男性は大声で怒鳴りつけると、
倒れている怪我人に注意を戻した。
どうやら頭を怪我しているようだ。血が流れている。
男性は大きな声でよびかけたり、脈を調べたりと忙しそうだ。
仕方なく、恐々と男性に言われたとおりのことを始めた。
そうこうするうちに、救急車が到着した。
急いで怪我人は救急車の中へと運ばれていった。
その間も男性は救急隊員に指示しながら処置を施していた。
どうやら、本当に医者のようだった。
自分のすることはもうないな。
そう、ほっとしたが、しかしそれで終わらなかった。
「おい、お前」
一緒に救急車に乗り込んだ男性はこちらを振り向くといきなり言い出した。
「俺はこのまま病院について行くから
お前、ここに書いてあるところに行ってくれ。
そこで俺を待っている奴がいるから、そいつにこの書類を渡してくれ」
そう言われ、鞄から取り出された封筒を渡された。
「え? あの………」
「頼んだぞ。ああ、俺の名前は瀬名生だ。そいつにそう言え」
呆然とする内に、救急車は走り去ってしまった。
「え………」
目を落とし、書類に書かれた住所を見る。
「!!!!!」
そこは、ここから2時間以上かかる場所だった。
行って戻ってくるとすると、到底パーティの時間には間に合わない。
「そんな………」
こうして、あなたはパーティへ参加できなくなりました。
………ご愁傷さまです。
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